ヴィクトール・E・フランクル著
Kindleで旧版を2015年に買っており、なぜか手付かずであった。2002年に、原著改訂版を翻訳した新版が出ている。
最近NHKのBS世界のドキュメンタリーで、アウシュビッツ関連の番組みて思い出して読み始めた。
旧版は前半の出版社による解説が長い…。
なにしろ戦後に出版されたので、読者に周辺情報として知っておいたほうがいいだろうとのことだったが、言葉遣いが古いので漢字も昔の表現が多く、辞書引きながら読むにしてもちょっと辛かったので、ようやく本文にたどり着いたが新版を買って仕切り直し。読みやすくなった。
ドキュメンタリーや解説で、まずは生活環境が酷いことは知れたが、それについて、著者がビタミン欠乏、歯磨きもできないのに歯茎の状態が収容前よりもよい、と記述していてびっくりした。歯がぬけないかとか、確かに気にはなっていた。そうだったんだ…。
でも栄養失調はひどかったので、脂肪も筋肉もなく、歩くのも精一杯、いかに生き延びる工夫をしたかなど、そういったことも書かれていた。
収容から開放までの何段階かでどのような精神状態になっていくのかが、自分の経験や周りの人とのやりとりをはさんで淡々と綴られてた。
妻ヘの愛情を思い出しながら自分と妻が想像の中で会話して、生きてるか死んでるかではないというようなことのシーンは、もし自分が大事に思ってる人と死別することになったときの希望になりそうなどとおもった。
振り返るとなぜ生き延びられたか不思議だったらしい。どんな出来事が起きていたかはもう他にもたくさん証拠があるからということで、なるべく内面について心理学者の視点で書かれてた。
未来への希望がなんとかもてればどのようにも生きられるけど(それでも体力の限界はあるだろうが)、逆に絶望してしまうと病気であっという間というのが印象的であった。抵抗力が下がってしまうようだと。
著者の臨床経験からも失業者にも同様の傾向が見られる(未来がないと感じることについて)そうで、これは過去の話ではなく、人間の精神って未来に希望がもてるかでこんなに違うんだなと思い知った。